- 聞き上手なカミラ夫人を支えにしていたチャールズ3世
- 若きダイアナ嬢と結婚するも、うまくいかずカミラ夫人の元へ
- 互いに困難を乗り越え、最終的に良き理解者である彼女が正式な伴侶になった
チャールズ3世の希望は叶わず、一旦それぞれ別のパートナーと結婚したふたりですが、それでも気持ちが完全に離れることはありませんでした。
そんなカミラ夫人とは一体どんな人物なのでしょうか。この記事では、一連のスキャンダルを越えて王妃となったカミラ夫人の過去と人柄をみていきたいとおもいます。
ふたりの馴れ初め
1970年、ウィンザー・グレート・パークで行われたポロの試合で、チャールズ3世 (当時は皇太子)とカミラ夫人は初めて出会いました。
当時カミラ夫人はアンドルー・パーカー・ボウルズと交際していました。しかし、彼女とチャールズ3世にはポロやアウトドアといった共通の趣味があり、ユーモアのセンスを同じだったことから、すぐに親密な関係になりました。
カミラ夫人は上流階級の出身でした。そして、彼女の曾祖母アリス・ケッペルはチャールズ3世の曾祖父エドワード7世の愛人でありました。
(英国王室の家系図)
この家系のつながりは、カミラ夫人の印象を複雑にする一因となります。
王室の反対
当時のイギリス王室は、皇太子が適切な血統を持つ女性と結婚することを望んでいました。その中の一人がダイアナ妃の姉である、サラ・スペンサーでした。
師であり大叔父であり、チャールズ3世が慕っていたルイス・マウントバッテン卿は自分の孫娘との結婚を願うなど、この結婚には多くの人の思惑がつきまとっていたのです。
カミラ夫人には恋人がおりましたし、彼女はその他の男性とも関係を持っていました。そういった意味で、イギリス王室にとって彼女は「経験豊富な女性」だったのです。
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煮え切らない皇太子と別れて
(カミラ夫人と元夫アンドルーの結婚式 イメージ画像)
チャールズは表向きは妃探しをしていましたが、実際に結婚する覚悟はできていませんでした。
一方でカミラ夫人は、他の女性と同じように、結婚して夫と子どもたちと一緒に家を建てることが人生の道だと期待して育ち、臨時の職についていました。
チャールズとの結婚に陰りがみえると、カミラ夫人はすぐに昔のボーイフレンドであるアンドリューと婚約。1973年には結婚して、チャールズ3世に壊滅的な打撃を与えることになります。
しかし夫となったパーカー・ボウルズ自身も、彼女がチャールズ3世と結婚できなかったために当て馬にされたのではないかと嫉妬することもあったといいます。
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ダイアナ嬢の登場
(ダイアナ妃とチャールズ皇太子 – クイーンズランド州公文書館, 制限なし, via Wikimedia Commons)
こういった周りの出来事は、当時皇太子であったチャールズの配偶者選びを大きく婉曲させることになりました。
カミラ夫人が敬遠された一方で、王室の期待する条件にピタリと当てはまったのがあのダイアナ妃です。マスコミは彼女を理想的な伴侶だと褒め称え、国は一挙にお祝いモードに包まれました。
望まぬ結婚
ダイアナ嬢と結婚したとき、チャールズは31歳、彼女は19歳という若さでありました。彼女の恋愛遍歴に問題はなかったものの、それは結局のところ王室に言われた通りの結婚であり、チャールズ3世が心から望んでいるものではありませんでした。
また年上であるカミラ夫人の居心地の良さを支えにしていた彼にとって、年下で甘えたがりなダイアナ妃との関係は想像とは大きく違うものでした。
ダブル不倫
1986年頃から、チャールズとカミラ夫人は再び関係を持ち始めました。チャールズ3世はダイアナ妃との結婚生活に不満を持ち、カミラ夫人の夫も浮気をしていたため、事態は悪化していきました。
そしてこれが一大スキャンダルとなり、結局1996年までに、カミラ夫人もチャールズ3世も離婚に至ります。しかし、この時点ではまだ、カミラ夫人は王室にふさわしくないと思われていました。
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ダイアナ元妃が亡くなり
エリザベス2世は、カミラ夫人の行動を非難したこともあったといいます。
さらに、チャールズの祖母である皇太后もカミラ夫人を敬遠していました。彼女は義理兄であるエドワード8世を夢中にさせ国王から引き摺り下ろした、ウォリス・シンプソンの影を彼女に見ていたのです。
しかし、ダイアナ妃が亡くなってしばらくすると、チャールズ3世は、カミラ夫人との関係を公けにしました。
公けになった関係
当時、カミラ夫人は王室から敬遠されていただけでなく、国民の人気もありませんでした。
多くの人から見れば、ダイアナ妃を惨めな生活に追い込んだ女性でしかなかったのです。チャールズ3世はカミラ夫人を再度諦める気はありませんでした。
ふたりが一緒に人前に出始めたのは、ダイアナの死から二年後の1999年のことでした。それから徐々に彼女の株は上がり、エリザベス女王とチャールズの息子たちもこの関係を受け入れ始めました。
変わっていく印象
(チャールズ3世と王妃カミラ 英国政府, OGL3 について, via Wikimedia Commons)
それには、一定の距離を取りながら寄り添うカミラ夫人の力がプラスに作用したといいます。
皇太后は反対の姿勢を崩さず2002年に亡くなりましたが、それから3年後、チャールズ3世とカミラ夫人は結婚式を挙げました。
その後、将来カミラ夫人は王妃として扱われることが発表され、実際にチャールズ3世が国王として即位すると、彼女は王妃としての位置に落ち着くこととなったのです。
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まとめ
(国立衛生研究所, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons)
ダイアナ妃を死に追いやり、皇太子を操った女性として語られがちなカミラ夫人ですが、本当のところは、誰の立場で物事をみるかで見解が変わってくるようです。ダイアナ妃とのそれは周りに祝福される結婚でしたが、お互いが窮屈に感じうまくいくことはありませんでした。
そこにカミラ夫人が噛んでいたのはたしかで、でも「心から支えてくれる人」を皇太子が求めていたのであれば、これは「あるべき姿に収まった」ということなのかもしれません。
イギリスでは世紀をこえたロマンスとして、ふたりを応援する声も年々増えてきています。それでもチャールズ3世の原動力がカミラ夫人であったなら、正式な立場にありながら好きな人と添い遂げることができたのはこの時代ならではの幸せなことだったのかもしれませんね。
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