【パリのカタコンベ】本当にある人骨都市、ドクロがぎっしり詰まった地下墳墓

フランスの歴史

時間が経ちながらも、いまでも一目見ただけで背筋がぞっとする光景。悲惨な歴史を持つ遺跡は数多くありますが、パリにあるカタコンベもそのひとつ。

本能的におぞましさを感じてしまう、髑髏がぎっしりと詰まった墳墓がパリの地下には存在しているのです。この記事では、パリに充満する死臭を封じた地下墓所「パリのカタコンベ」についてふれていきたいとおもいます。

カタコンベとは

カタコンベ (Catacombes)

カタコンベとは、初期キリスト教の地下墳墓のこと。

墓地に土葬するかわりに、地下にある洞窟などを安置所としたものです。しかし棺もなしで壁の穴などに安置されるケースが多く、月日が経つにつれてそれは無数の白骨がズラリと並んだ、身の毛もよだつ場所が出来上がるのでありました。こうした地下墳墓は世界各地にあるのですが、なかでも有名なのはパリにあるカタコンベ (カタコンブ・ド・パリ)でしょう。

カタコンブ・ド・パリ

パリのカタコンベ、背筋も凍る地下墳墓

18世紀中頃、70万人を超える人口を抱えたパリ市内の墓地は完全にキャパシティを越えていました。墓に入りきらない死体が山積みにされていたのです。おかげでネズミや疫病が蔓延し、建築石材を切り出していた市の地下トンネルが墓所として使用されることになったのです。

このカタコンベは、現在でも見学することができます。閑静な住宅街のど真ん中、ダンフェール・ロシュロー広場にぽつんとある入り口から螺旋階段をおり、湿った空気のなかを5分ほど歩くと「心せよ、諸君は今、死の帝国に入ろうとしている」と書かれた門に出会います

パリのカタコンベ、背筋も凍る地下墳墓

通称「地獄門」と呼ばれるこの門をくぐると、出迎えるのはたくさんの骨。しかも人の形などたもっておらず、無数に積み上げられた真っ直ぐな骨の間に頭蓋骨が並び、それはまるで「骨の壁」といった佇まいで存在しているのでした。

約600万人分の人骨

この地下墳墓に納められた骨は、なんと総計600万人分。これは現代のパリ市民の約3倍弱にあたる数であり、「同じ人の骨は一箇所にあつめて…」なんてとてもいっていられない状態だったのです。膨大な骨が無象ウサに積み上げられた光景は、圧倒的な死のオーラを放っています。

完成したカタコンブは人々の関心を惹きました

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最初の訪問者

最初の訪問者は、1787年、アルトワ伯(のちのシャルル10世)と貴婦人の一団だったといわれています。翌年にはポリニャック伯爵夫人とギシュ夫人が訪問していますが、実際に最初の公共の訪問ツアーが行われたのは1806年のことです。これは一握りの特権階級のために不定期に開催されていました。

パリのカタコンベ、背筋も凍る地下墳墓

1814年5月には、オーストリア皇帝フランツ2世もパリ滞在時にカタコンブを訪問しています。1860年にはナポレオン3世とナポレオン・ウジェーヌ皇子が訪れ、空中写真のパイオニアである写真家ナダールも、パリ地下シリーズの最初の作品を撮るためにカタコンブを訪れています。

1972年まで、カタコンブの訪問は、おなじみのルートにおいてはロウソクを灯して行われていました。骨の保存に関する理由で電気がひかれたのは1983年と遅かったといいます。

カタコンベにまつわる怪談話

そんなカタコンベですが、もちろん怪談話も多く語られています。

1990年代初頭、暗い墓地内をあるグループ (定期的にパリカタコンベを研究、調査する人々) が歩いていました。彼らはたまたま、地下墳墓内でビデオカメラを発見するのですが、そこには奇妙な映像が残っていました

そのビデオカメラを持っていた男は迷子になり、どうやったら外に出られるのかわからなくなっていたのです。動画には、トンネルの地下ネットワークの中で男性が迷い狂っていることがはっきりと描かれていました。ビデオは、その男がカメラを地面に落としたところで突然終わっています。今日に至るまで、この男が誰なのか、生きて出てきたのかは不明のままです。

また、真夜中以降に埋葬地内で不可解なことが起こるといったことも伝えられています。伝説によると、真夜中過ぎにパリのカタコンベの中にいると、壁が話し始めるそうです。

実体のない声は、その声を聞いた人が出口を見つけることができなくなるまで、カタコンベに深く踏み込むよう説得するように話し続けるそうです。

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まとめ

パリのカタコンベ、背筋も凍る地下墳墓

1788年8月28日から29日にかけて、グレーヴ広場、オテル・ド・ブリエンヌ、メスレ通りで発生した暴動の死者の亡骸もこのカタコンブに収容されたといわれています。しかし最初は気味悪がっていた観光客も徐々に慣れていくのがおもしろいところ。ちょっと触ってみたり、頭蓋骨を手に記念撮影。挙句には骨を盗もうとする者までいるそうで、出口では持ち物検査が行われています。

本来人骨を見れば腰が引けてしまうものですが、おそらくあまりの数に感覚が麻痺してしまうのでしょう。

もっとも、そんな観光客も地上に戻った自分の靴に、何か白いものがついているのを見ると「骨が!骨が!」と大騒ぎするとか。しかし残念ながら、これは骨粉ではなく、地下を流れる石灰水の仕業なのです。もしあなたがそこへいき、友人がそう騒いだとしてもそれは内緒にしておいたほうがおもしろいかもしれません。

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