ナチスドイツが行ったユダヤ人の大虐殺。アンネ・フランクは15歳で亡くなりましたが、彼女が経験したことは100歳まで生きた人々よりも恐ろしい体験をした、といわれています。長年アンネは家族とともに隠し部屋で息を潜めて暮らしていました。
アンネと家族は、第二次世界大戦中の2年間ナチスからうまく身を隠していましたが、密告により強制収容所へ送られてしまいます。そこで命を落としたアンネが残した歴史的な遺産が、かの有名な『アンネの日記』です
隠れ家生活
1940年初頭、父オットー・フランクは家族がキューバに移住することを試みますが、ビザを取得することはできませんでした。事業を営んでいた彼は、最も信頼できる友人と従業員に相談、彼らは協力して、フランク一家を隠す計画を思いつきます。
そしてフランク一家は、父オットーのオフィスの別館に避難することになりました。それは「秘密の場所」であり、唯一の入り口は本棚で隠されていましたので、誰も別の階がありそこに人が住んでいるとは思わなかったでしょう。従業員たちは、家族がスイスに逃げたといううわさも流して一家をかくまったのでした。
扉の裏で
オットーのもとで働いていたヨハネス・ボスケイルは、ここをより見つかりにくくするために蝶番の本棚を作りました。
ヨハネス氏が本棚の作業を始めたのは1942年8月で、その数週間後にオットー・フランクの家族が隠れ家に入りました。ビル内の本棚の背後で、オットー・フランクは働いていました。アンネはその隠れ家で、逮捕されるまで、誕生日に受け取った日記に物事をつづり続けたのです。ちなみにこの本棚は、父オットーにより1960年に一般公開されています。
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2年と35日の隠れ家生活
彼らが秘密の別館に入った後、彼らが一体この先どうなるか誰もわかりませんでした。家族が隠れて住んでいた間、2年以上の間、空を見ることも太陽を感じることもできませんでした。アンネは気をそらすためアンネは執筆と読書に明け暮れました。自分の体験を書き綴り、同じ本を繰り返し読んだのです。彼女はまた、外に再び住むことができたら何をしたいかをリストしたりと、明るく生きようとしていたようです。
フランク家の希望は、終戦まで平和にそこにひっそりと留まることでしたが、匿名の密告によりフランク一家はナチスに見つかり強制収容所へ送られてしまいます。
アウシュビッツ強制収容所
2年の隠居生活はオットーとエディスの結婚生活には負担をかけましたが、それでも夫婦はまだお互いを深く愛していました。アウシュビッツ収容所で父オットーと家族を引き離された際は、エディートは夫が「ガス処刑」されたものだと思い、相当な精神的打撃を受けました。
当局はエディートを1945年の初めにアウシュビッツ ビルケナウの病室に移しましたが、数週間前に彼女は亡くなりました。オットーは1マイル離れたところに住んでいたのですが、両者ともに知ることはなく、彼女が亡くなったこともオットーには知らされませんでした。
隠れ家の生存者は、父オットーのみ
ドイツ軍は別館に隠れているフランク一家を発見すると、直ちに強制収容所に連行しました。到着後すぐに男女に分けられ、軍は父オットーをから妻と2人の娘を引き離しました。この時がオットーが妻と娘の姿を見た最後となりました。
彼女らは「父親が殺された」と思っていたそうですが、実際は逆でした。残念なことに、彼女らは第二次世界大戦が終わる前に強制収容所で亡くなりました。オットーは1945年1月27日アウシュヴィッツの病棟にいたところ、ソビエト赤軍により解放されます。
オットーは3月になってようやく収容所を出ることが認められ、ポーランドを経由して帰路へつきました。彼が妻と娘が強制収容所で亡くなったことを知ったのはアムステルダムに到着したときでした。彼が隠れ家のなかで、唯一の生存者でありました。
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あとがきにかえて
アンネがいたベルゲン=ベルゼン強制収容所は、「休養収容所」とも呼ばれる場所でした。1944年3月27日以降、他の強制収容所の囚人のうち病人や高齢の者が、休養のために送られてくるようになっていたのです。
しかし特別な医療施設が設けられていたわけではなく、その実態は他の強制収容所とほとんど変わらなかったといいます。また収容所内の衛生状態が劣悪であり伝染病が流行しました。食料もほとんど与えられず、餓死者と病死者が続出する収容所だったのです。
この収容所でアンネはチフスに罹患して命を落としました。
隠れ家の住人のなか、ただ一人戦後まで生き延びたオットー・フランクは、ミープからこの日記を手渡されました。生々しい日常が刻まれた『アンネの日記』、オットーはアンネの”戦争と差別のない世界になってほしい”という思いを全世界に伝えるため、日記の出版を決意しました。この日記は60以上の言語に翻訳され、2,500万部を超える世界的ベストセラーとなっています。
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