2. 痙攣は脳が閉塞するからであって、痛みがあるわけではない
3. ただし斬首には変わらず、被処刑人が苦しまずに亡くなった可能性は低い
フランス革命において被処刑人の苦痛をやわらげる目的で採用され、フランスでは1981年まで使用されていました。しかし実際のところ、本当に被処刑人の苦痛を緩和することはできていたのでしょうか?この記事では、ギロチン処刑の痛みについてみていきたいとおもいます。
理屈的には無痛
(ギロチン Supplied via Canva)
ギロチンは、脊髄から脳までの神経を即座に切断するので、苦痛はないといわれています。
きれいに切断されるというのがポイントで、椎骨を切断すると、神経が切断されて身体が機能しなくなるので、痛覚受容器から信号が送られなくなるのです。
これはもちろん、時速64.36kmで加速する約4.5キロの刃で、首を切断すると仮定した時の話です。首の毛に切り込んだ刃の冷たさすら感じられない早さといったらわかりやすいでしょうか。
稀に起こる痙攣
しかし、ギロチンによる処刑後に痙攣 (けいれん) が起こる場合もあります。痙攣や眼球やまぶたの一部がピクピクとなる症状は、多くの場合死後5分以内に起こるとされています。
これは脳が閉塞するからであって、痛みがあるわけではないのです。病院のベッドで無痛で自然に亡くなった人の多くは、死後数分でひきつったり、目をパチパチさせたり便通があったりすることがあります。
一度死んでしまえば、痛みも含めて何も 「感じる」 ことはできません。脳の活動自体は、死後も続く可能性はありますが、それは被験者が生きていることを意味するものではなく、また明確な感覚を持っているわけでもないのです。
ギロチンの狙い
ギロチンは「痛みや苦しみ」に焦点を当てたものではなく、むしろ「罰」に焦点を当てたものであったため、恐怖を煽る非常に効果的な道具でありました。
その目的は、文字通り自分の罪のために命を絶たれるというだけで、数分間の拷問すら許されないというものでした。被処刑人は暗い監獄に閉じ込められ、目隠しをされて外に連れ出されました。
苦しみは一瞬であっても、首をバケツのついた板の上に置き、切断される頭をつかまれ、刃が上から落ちてくるのを待つ恐怖は何物にもかえがたいものだったでしょう。
ギロチンは被処刑人を苦しめるのが目的ではなく「恐怖を与え、命を速やかに断つ」ことを目的に作られたのです。
実際の目撃談
ギロチン理屈上は、最も迅速で苦痛の少ない処刑方法だといわれています。
18世紀のフランスでは、「それ以前に使われていた方法よりも早く痛みが少ないもの」として紹介されていました。処刑方法には、火あぶりのような残酷なものが含まれていましたので、「痛みが少ないもの」というのも事実だったかもしれません。
しかしギロチンによる処刑を目撃した人々は、処刑された人の顔は、切断された後、おそらく10秒間は、苦悶のように身もだえしていたと述べており、現代の医学的知見では、意識が最大 20 秒間持続しており痛みを伴っていた可能性があると考えられています。
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まとめ
ギロチン処刑に痛みはあったのか。理屈上は、一瞬で神経が切断されるので当人が痛みを感じることはないといわれていますが、実際、数秒は悶え苦しんでいたという説が残っています。
首を落とされる痛み以外にも、刃が一度カゴに落ちると、その衝撃で当人おそらく真正面から鼻に着地するため、刃自体に痛みがなくても痛みを伴うという説もあります。
どちらにしても、刃が機構の上部から首に落ちるまで1~2秒かかり、その過程でかなりの騒音を発すること。重い刃がこちらに向かってくるのを聞いたときの精神的苦痛は、想像を絶するものがあるに違いないでしょう。
ギロチン以前の斬首には斧や刀が使われていましたが、死刑執行人が未熟な場合には一撃で斬首できず、囚人の首に何度も斬りつけるなど残酷な光景が展開され、受刑者に多大な苦痛を与えることも多かったといわれています。
それに比べるとギロチンはいささか人道的ではありましたが、斬首には変わらず被処刑人が苦しまずに亡くなった可能性は低いのでありました。
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