星月夜は世界で最も有名な芸術作品の一つです。コーヒー、マグカップ、Tシャツ、タオル、マグネットなどにも描かれているこの作品、現代でも『星月夜』が多くの人々の心に響くということは、その美しさが時代を超えた普遍的なものであることの証です。この記事ではフィンセント・ファン・ゴッホが残した星月夜にこめられた意味を紐解いていきます。
入院中に描かれた絵
ゴッホは、サン・レミ・ド・プロヴァンスにあるサン・ポール・ド・モーゾ‐修道院病院で「星月夜」 を描きました。精神病が悪化し、病院で暮らしていたときのことです。医師と仲が良かった彼は他の患者より自由で、治療のためにも医師は彼に絵を描くことをすすめました。
彼は時折てんかんの発作に苦しんでいましたが、入院中に描かれた絵は『二本の糸杉』など、比較的穏やかな色調の絵が多いのが特徴です。
星月夜
星月夜はゴッホの後期の作品です。
綺麗な青が絵を支配し、空には丘が溶け込んでいます。下の方に描かれた小さな村は、絵画の土台に茶色に灰色、青で塗られています。各建物の輪郭がはっきりと黒で描かれているにもかかわらず、星と月の黄色と白が空に映り、私たちはその美しい空に目を奪われるのです。
流れるような構図
絵画の絵筆の流れに注目してください。
空に向かって渦巻き、星や月の周りの雲と一緒に色の塊が転がっています。ヒノキの木は枝のカーブに合わせて曲がりくねり、全体的に幻や夢のような効果を生み出しています。
丘はすぐ下にある小さな村へと転がり落ちて、対照的に、街は上下にまっすぐで、筆の流れを妨げるような堅い線で描かれています。小さな小さな木が町の硬直した雰囲気を和らげ、建物の不自然さを中和しています。
想像力の結晶
この絵の最大の関心事の一つは、それが完全にヴァン・ゴッホの想像力から来ているということです。どの景色もサン=ポールの周りの地域でも、彼の窓からの眺めとも一致しません。
悲しいことに、ゴッホが耳たぶを切り落とす前から、多くの人が彼を奇特で正気ではないと考えていました。当時の美術評論家たちは、苦闘する芸術家たちのキャリアの形成と破壊に大きな影響力を持っていましたが、ゴッホの代表的な作風は、明るくて重厚な筆使いに特徴づけられました。当時は「だらしがなく粗雑で子供じみており、当時の他の芸術家が行っていたもっと伝統的な作品にはかなわない」と評価されていたのです。
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まとめ
『星月夜』やゴッホの他の作品は明らかに時代に先んじていました。20世紀初期の大きな芸術運動の1つである表現主義への道を開きましたが、ゴッホの芸術は彼が生きている間に評価されることはありませんでした。ゴッホは、アルルの庇護を受ける前と後に、芸術家として苦労し、評価されていないという孤独感を味わったに違いないでしょう。
この孤独感は 「星月夜」 に表れており、この絵の全体的な意味を彩っています。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの 「星月夜」 には、単なる狂気と孤独以上のものがこめられているからこそ、時が流れても尚人々はこの絵画に魅了されるのかもしれません。
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