ジャン・バルジャンを取り逃したジャベールが歌う挿入歌「星よ」。2012年に公開された映画では、ジャベール演じるラッセル・クロウが歌っていましたね。
この記事では原曲の英語歌詞を翻訳しながら、この歌の背景や「ジャベール警部の背景」を解説していきたいとおもいます。尚、このサイトでは英語でもうたえるよう、英語のふりがな (平仮名るび)もつけておきますのでぜひ英語でも歌ってみていただけたらとおもいます。
星よ (和訳と読み方)
There, out in the darkness (でぁ あうてぃん だーっねす)
この暗闇のどこかを
A fugitive running (あ ふゅじてぃぶ らにんぐ)
囚人は逃げている
Fallen from god (ふぉるん ふろむごーっど)
神に背いて
Fallen from grace (ふぉるん ふろむ ぐれぃす)
その恵みにもそむいて
God be my witness (ごっどび まい うぃっねす)
神は見ておられる
I never shall yield (ぁい ねゔぁ しゃる ぃーるど)
私はけして屈しない
Till we come face to face (てぃる うぃ かむ ふぇいす てゅ ふぇいす)
奴と直接対決する
Till we come face to face(てぃる うぃ かむ ふぇいす てゅ ふぇいす)
その日まで
He knows his way in the dark (ひのーず ひずうぇいん ざだーく)
彼は闇の中を進んでいくが、
Mine is the way of the Lord (まいんず ざ うぇいぶ ざろーっ)
わたしは神の道をいく
And those who follow the path of the righteous (ぇんどーじゅ ふぉろう ざ ぱそぶ ざ らいちぇす)
正しい道を行く者に、
Shall have their reward (しゃる はぶぜ りわーど)
報いはもたらされるはず
And if they fall as Lucifer fell (あんど いふぜ ふぉーらず るしふぁ ふぇる)
そして奴は悪魔のように
The flame the sword! (ざ ふれぇむ ざ すゎーど)
炎の中へと落ちるだろう
Stars (すたぁず)
星々よ
In your multitudes (いにゅあ まぅてぃてゅ)
無数にあって
Scarce to be counted (すけぁ てゅび かうんてぃっど)
数え切れないほどに
Filling the darkness (ふぃりんぐ ざ だーくねす)
暗闇を照らす
With order and light (うぃず おだーえん らい)
整然とまたたいて
You are the sentinels (ゆあ ざ せんてぃねるす)
まるで番人のように
Silent and sure (すぁいれん てぇん しゅぁ)
静かに、そしてたしかに
Keeping watch in the night (きーぴん うぃおっちん ざ ない)
静かに夜を見張っている
Keeping watch in the night (きーぴん うぃおっちん ざ ない)
静かに夜を見張って
You know your place in the sky (ゆの ゆあぷれすぃん ざ すかい)
いるべき場所を知って
You hold your course and your aim (ゆほーるじゅぁ こーせん ゆぁえぃむ)
道筋と標をもって
And each in your season (えん ぃっちん ゆぁ すぃーずん)
季節ごとに
Returns and returns (りたーんぜん りたーんず )
巡っていく
And is always the same (あんぃず ぉるうぇいざ せぃむ)
いつも同じように
And if you fall as Lucifer fell (えんぃふ ゆ ふぉーらず るーしふぁふぇる)
そして堕天使 (ルシファー)のように
You fall in flame! (ゆ ふぉーりん ふれぃむ)
堕ちる時は炎の中へ
And so it must been or so it is written (えんそ ぃますびーん ぉぁ そいてぃず りてゅん)
そうだ、聖書にもある
On the doorway to paradise (おんざ どーうぇい てゅ ぺぇらだい)
天国の門にもこうあると
That those who falter and those who fall (でぇっつ どず ふぉるた ぇん どず ふぉる)
神の道に背いた者は、
Must pay the price! (ますと ぺい ざ ぷらいす)
代償を支払うことになる
Lord let me find him (ろーど れってぃみ ふぁんでぃむ)
神よ、私に捕まえさせておくれ
That I may see him (でぇっつ ぁい めすぃーいむ)
やがて、私は奴と対面する
Safe behind bars (せぃふ びはいんばーず)
そして、鉄格子の奥へと
I will never rest till then(あい うぃる ねばれすと てぃる ぜん)
それまで、わたしは進み続ける
This I swear (でぃさい すうぇあ)
私は誓おう
This I swear by the stars! (でぃさい すうぇあ ばいざ すたぁず)
この星々に私は誓う
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ジャベールとは
冒頭部分から登場し、ジャン・バルジャンを追い続ける警部ジャベール。劇中でも告白しているように、囚人の父母の子供として、徒刑場で生まれました。
社会から外れ「普通の人間として」社会に関われないという絶望から、自身の境遇やそれと同じ境遇に属する人間を憎み大人になりました。要素が備わっていたこともあり、警察官となったジャベールは「社会を守る人間である」ことを信念として生きていきます。
こういった背景が、ジャン・バルジャンに対するきついあたりや、悪行を働いた者をけしてゆるさない、例外を認めないことに繋がっているのでしょう。
歌にこめられた意味
偶然のいたずらか、様々な場面で遭遇するふたりですが、2012年公開の映画の中ではジャン・バルジャンはずっと逃亡を続けていました。(実際、原作の中では再度逮捕され脱獄するのですが、映画ではストーリーが少し違いますね)
そこで、再び囚人を取り逃したジャベールが歌ったのが、こちらの挿入歌「星よ (stars)」ですね。歌の中に出てくる「ルシファー」とは、光をもたらす者という意味をもつ悪魔・堕天使の名です。
- 自分は「神の道 (ただしき)をいき」、
- 囚人は「悪魔の道 (罰せられるべき)を進む」
警部の思う「正しさ」が何かを歌った唄ですが、立場によって自分の正義が違うことを改めて思い知らされる歌でもあります。
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まとめ
ジャベールは、民衆の苦しみを見かねて立ち上がった「ABC友の会」のメンバーに捕虜とされます。しかし、居合わせたジャン・バルジャンは空砲をはなってジャヴェールを殺さず、解放しました。そのとき、
俺を恨んでるのだろう、さっさと殺せばいい
というジャベールに、ジャン・バルジャンはこう返しました。
君は自由だ
君に恨みなどない
君は職務を果たしただけだ
レ・ミゼラブルのテーマでもある「赦し」。それがこの言葉「You’ve done your duty (君は、君の職務を果たしただけだよ)」にすべて込められているのではないかと思うほど重い言葉ですね。
ジャン・バルジャン自体も徒刑場で身に付いた悪癖から悪さをはたらいたわけですが、司祭様に出会ってから贖罪のたまえに精神の向上に努めるようになりました。
晩年、ジャン・バルジャンを突き動かしていたのは「愛」であり、ジャベールを突き動かしていたのは、「昔の恨み」だったのでしょう。「恨み」より「赦す」ことが、自分を自由にしてくれるのかもしれませんね。
※ 原作を踏まえて、今回は2012年に公開された映画のストーリーを主に取り上げています。(歌詞引用元:https://www.stlyrics.com/lyrics/lesmiserables/stars.htm)
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